秋田県・乳頭温泉にある「秘湯 鶴の湯温泉」は日本一の秘湯とも言われ、築100年以上の茅葺の建物がいつかの古い時代に迷い込んだかのような錯覚を起こさせます。山奥で浸かる乳白色の温泉に心癒され、山菜や川魚を味わい、素朴で温かいゆったりとした時間を過ごすことができる宿です。
2021年1月、東北の雪見温泉なんていいな〜と思ってJRダイナミックレールパックで探していたら、秘湯で有名な鶴の湯温泉の1週間後の土曜日に空きを見つけました。もちろん速攻で予約。ネットやメールでは予約できず、6ヶ月前から電話でしか予約を受け付けていないはずが、JRのプランに出てくるのです。コロナの影響か土曜日の予約が1週間前に取れてとてもラッキーでした。
雪深い冬にお邪魔し、白銀の最高の景色と素朴で美味しい食事、そして何より湧きたての温泉を満喫して来ました。
アクセス
東京から秋田新幹線に乗って約3時間、田沢湖駅へ。田沢湖駅から乳頭温泉行きの路線バスに乗り約40分、「アルパこまくさ」バス停で降り、迎えに来ている鶴の湯温泉のバスに乗ると10分ほどで鶴の湯温泉に着きます。
秋田新幹線・田沢湖駅。新しくて綺麗な駅です。雪が積もっていました。田沢湖駅に着いたら、乗る路線バスの時間と送迎をお願いしたい旨を宿に電話すると、アルパこまくさのバス停まで送迎バスで迎えに来てくれます。
駅からは乳頭温泉行きの路線バスに乗ります。14時20分発。
本当はJRからの予約だとアーリーチェックインで14時にはチェックインできるのですが(通常は15時。)、新型コロナウイルスの影響で13時20分発の丁度いいバスが運休になってしまっていました。



路線バスに揺られて30分ほどで、バス停「アルパこまくさ」に到着です。アルパこまくさは登山の拠点にもなる場所らしく、日帰り温泉施設や食堂があり、火山防災ステーションにもなっていました。


アルパこまくさで降りたら、迎えに来ている送迎車に乗り換えます。路線バスに乗っていた人は1人残らずアルパこまくさで降りて、皆この送迎車に乗りました。笑
送迎車は真っ白な雪の中を進みます。モミの木的なものがたくさん生えていて、クリスマスっぽくもあり、全く別の世界へ連れて行かれるようです。


チェックイン
送迎バスで10分ほど揺られ、15時頃到着。田沢湖駅よりも更に雪が厚く積もっています。そして鶴の湯お馴染みの入り口。とても風情があって、昔懐かしい感じがします。
左側の建物が、風情があってみんなが泊まりたがる「本陣」。お部屋の中に囲炉裏があって、夕食は囲炉裏を囲んで食べられるそう。右側の建物が今回私たちが泊まる「2号館、3号館」で、所謂湯治棟です。
チェックインは、この道を進んで左にある事務所で行います。



事務所にはお土産も売っているし、飲み物もキンキンに冷やされて売っています。瓶のコーラやビールもあり、おすすめは袋に入ったリンゴジュース。部屋付けできるので温泉に浸かった後に事務所に寄って好きな飲み物を気軽に飲めます。


お部屋(3号館)
鶴の湯の一番人気のお部屋は本陣と言って、一番古くて囲炉裏の付いたお部屋ですが、JRだとそのお部屋の予約はできないようで、今回は一番リーズナブルでこじんまりとした2、3号館のお部屋です。2、3号館は所謂湯治客用で、6畳一間の部屋は超シンプル。扉を開けたらすぐ6畳のお部屋で、スリッパは廊下で脱ぎます。トイレも洗面台も、もちろんユニットバスもありませんし、テレビも冷蔵庫も置いていません。
でもお部屋には強力な暖房器具があり、外気温が氷点下でも暑いくらい暖まるので心配は要りません。お布団もフカフカです。


2、3号館はひと続きになっていて、日帰り温泉に来たお客さんが使えるトイレや休憩所などもありました。ビールも売っているので夜中にお酒が飲みたくなっても大丈夫。


温泉
鶴の湯には白湯、黒湯、中の湯、滝の湯という泉質の異なる4種類の源泉が湧いています。いずれも乳白色なので見た目は同じなのですが、効能や肌触りは違うそうです。(私はよくわかりませんでした。笑)
露天風呂は大きな混浴露天と女性専用の露天が2つあります。その他に黒湯、白湯、中の湯があり、これらは建屋の中にあります。滝の湯と中の湯に繋がっている女性専用露天は冬季は閉鎖されているようでした。


白湯、黒湯、中の湯
白湯、黒湯、中の湯の建屋内の温泉はいずれも見た目がそっくりで、古い建屋に脱衣所と浴槽があるだけ。宿泊者専用の内湯と貸切風呂も同じ感じ。ドライヤーは宿泊者専用の内湯にしかなかったと思います。シャワーとシャンプー・コンディショナー・ボディーソープは宿泊者専用内湯と貸切風呂にあります。
貸切風呂は2室あり空いていれば誰でも無料で入れますが、タイミングを見計らわないといつも満室で、何度も足を運ぶ羽目になりました。入れたのは夕食時間の直前だけ。そして、貸切風呂はお湯の温度が高くてとても熱かった。


女性専用露天
冬季なので女性専用露天風呂は1つしか入れませんでした。結構広く、30人くらいは余裕で入れるのではという大きさだけど女性客が少なかったこともあり、ほぼ貸切でした。温度がぬるめなのでずっと入っていられます。山が背後に迫っていて雪見が楽しめ、足元湧出。底からポコポコとお湯が湧いてきます。鶴の湯温泉のハイライトは混浴の方なのでこちらはあまり人が来なくて穴場。私はずっとこちらでもいいと思いました、いくら夫と一緒とはいえ、知らない男性に肌を見られるのは少し抵抗があるので。。。


大きな浴槽の隣には1人しか入れないくらいの小さい露天もありました。背後に迫る雪山がダイナミック。


混浴露天
混浴露天は一番大きな温泉。鶴の湯温泉の一番有名なお風呂です。こちらも足元湧出で熱いお湯が湧いていて、カップルやファミリーで一緒に入れるので人気があり、絶えず人が入っています。女性は右写真の右奥から浸かりながら入って来られるようになってはいますが、浸かるまでの動線も、目を凝らして見ようと思えば見えてしまいそうな感じなので、注意してください。


電話予約のプランだとチェックアウトが10時ですが、JRプランだと11時なので、その狭間の時間を狙って入りに行ったら、見事誰もいなくて夫と2人で独泉できました。パートナーとこの大きな露天風呂を独泉して浸かれるのはこの上ない贅沢!10時を15分くらい過ぎると日帰り温泉に来たお客さんが来たので少しの間の独泉でしたが、最高の時間でした。
食事
1人1泊1万円なので、正直食事には全く期待していなかったのですが、地の物を使った料理はどれも素朴で美味しく満腹で、大満足でした。
夕食
2号館、3号館の宿泊客は、本陣の広間的なお部屋で夕食をとります。
まずはお酒のメニューから。ビールに日本酒、焼酎、ウイスキー、ワイン。意外となんでも揃っていて、銘柄にこだわりがなければ十分なラインナップです。


JRのダイナミックレールパックのツアーでは、献立右側の「二の膳」が追加になり、日本酒も1人1本貰えたのでお得!お腹がはち切れそうになりました。


山菜各種、岩魚の塩焼き、岩魚の刺身、こまち団子、おそばなど・・・。秋田名物のいぶりがっこも食べられました。



そして名物、山の芋鍋。優しい味でほっこりします。岩魚の塩焼きと一緒に囲炉裏で温めて出してくれました。どれも素朴な味付けだけどとても美味しかったです。


朝食
朝食は岩魚の甘露煮や白菜の煮物など。漬物やとろろなど味濃いめのおかずもたくさんあって、ご飯をおかわりしたくなります。朝は腹八分目でおしまいにして、また温泉に浸かりに行きますよ〜!
まとめ
有名な秘湯ということで、秘湯を楽しみにする反面、人がたくさんいるんじゃないかとか、寒くて寝られないんじゃないかとか少し不安もありましたが、全く気になりませんでした。宿の方との素朴な会話や、湯治客同士の会話を聞いたり、美味しい食事を食べたり、素晴らしいお湯に浸かってのんびりしたり。何より何百年も前にタイムスリップしたような、異世界へのトリップという感じがして、すごくリフレッシュできました。
秘湯の良さに触れるとともに、冬以外の季節にも来てみたいと感じました。絶対にまた訪れたいと思います。そして、他の秘湯にも行ってみたいと強く感じました。
皆さんも、タイムスリップして秘湯でゆっくりしてみませんか?